病院
お袋は病院から3つの薬を処方されている。記録のため書き出してみると、リバロ2mgこれはコレステロールを下げる薬。アリセプト5mg、メマリー5mgともに脳を活性化する薬だ。これらを一日一回朝に飲んでいる。というより飲ませている。
病院の一回の診察で30日分を処方してもらっている。前回の診察はお袋を連れて行くのが面倒だったので、オイラだけ行って薬を出してもらった。と言っても医者はオイラを問診したんだが、オイラを問診してどうするってことだわい。
でもってそろそろ薬がなくなる頃になってきた。ちょっと策を講じて今回はお袋一人で受診できるか試してみた。今朝の会話だ。
「もう薬がないから、医者に行って貰ってきてくれ」
「誰の薬を貰ってくるんだい?」
「あんたの薬に決まってるだろ!ちゃんと行ってこいよ」
「病院に行くなんてこと忘れたら、それこそ認知症だね!?入院しなきゃだよ」
そんなこんなで財布とともに診察券と保険証をお袋の目の前に出してやった。しばらくして診察券を確認している。
「病院は何時までやってるかね?5時だね、ヨシッ!」
いい気合だ!その調子でちゃんと行ってこいや。それでオイラは出掛けた。夕方帰ってみるとグーフィーの散歩は終わり、のんびり晩飯を食っている。
「医者には行ったのか?薬はどうした?」
「財布の中に領収書ない?んじゃ行ったと思うけどダメだったんだ」
「何がダメだったんだよ?」
「グーフィーが一緒だからダメだと言われたんじゃないかしら」
「なんじゃそりゃ?」
「もう訳わからないよ、覚えてないよ、ロッキード事件の小佐野さんだわ!記憶にございませんだわ」
「こりゃダメだな!入院だわ」
「明日もう一度行ってくるよ」
ロッキード事件の小佐野は覚えているのか!?まぁ行ったというのも怪しいもんだ。お袋の担当の女医は月水金しか病院にいない。明日になれば薬のことなんかすっかり忘れているお袋だ!今日は見事に失敗したが金曜日にもう一度言ってみようかしら。それでダメなら来週連れて行くしかないな、これがまた暑いから動きたくないとか言って梃子摺らせるんだわ。