スルースキル
ぼやく呼び鈴が鳴らないと言うことはなくなってきた。10日くらい続いただろうか!?煩くて仕方がない。最後のほうはこんな調子だ。
「昨日行けなかったんだよ」
「呼び鈴が鳴らないから、迎えが来たのに気が付かなかったんだよ」
『ちゃんと鳴ってるよ!』
「鳴らないよ!だから毎日置いて行かれてるんだ」
『昨日も行ってるよ』
「えぇ!行ってないよ」
いくら言い諭しても聞き入れない。自分が行ってないと思ったら行ってないのだ。ここで会話は終わってしまう。何を言っても無駄である。何につけても自分の考えが正しく、オイラの言うことは間違っているのである。もう勝手にほざいてろ!!知らんわ。
毎晩引っ掻き回してる箪笥も、弄ってるのはオイラだと言い出している。
悪いことはすべてオイラの所為にしている。だから文句も言ってくる。そんな与太をいちいち聞いてられるか!
婆さんの面倒を見始めた頃は、オイラもいちいち反応して怒っていた。こりゃ精神が持たんなと思い理不尽な言い分は無視することにした。最近ではこのスルースキルは更に磨きを掛け、婆さんがぼやいてもほとんど何も感じないまでになっている。今では交わす言葉もほとんどない。アンタはアンタだ、勝手にしてくれ!